エノキアン協会

こんにちわ。代表の上田 隆です。

先日参加した経営勉強会で「100年続いている会社は日本に27000社以上もあって、その数は世界中の100年企業の80%を占める」と知りました。

日本には金剛組など長寿企業が多いとは思っていましたがそこまで世界的に断トツな多さとは知らなかったのでネットでさらに詳しく調べたら、エノキアン協会という国際組織のことを見つけました。

エノキアン協会は、1981年にフランスのリキュールメーカーが提唱して創設された国際組織で、なんと家業歴200年以上の超老舗企業のみ加盟を許される会だそうです。

加盟数は現在40数社あって、組織の成り立ちゆえにその大半はヨーロッパ企業なのですが日本からも虎屋さん、月桂冠さん、赤福さん、中川政七商店さん、ヤマサ醤油さんなど僕もよくお名前を拝見する優良企業が加盟しておられます。

「エノキアン協会」に入会するには、「創業200年以上の歴史を持ち、同族経営で、業績も良好」という三条件を満たすことが必要です。

そして、会員がより良い友好関係を築くことによって、「活力は伝統と調和する」ことを世界に証明することを目的としています。

200年以上の長い歴史の中には、天災、戦争、経済危機など多くの試練があったはずで、それを生き抜くために必要なものは何か?

この協会に所属する老舗優良企業からそのエッセンスが見えてきます。

そのエッセンスの一つは「後継者に対する教育」でしょう。

人としての教育、経営者としての教育、社訓や家訓に代表される暖簾を守るための教育など次世代に伝えるべきことは無数にあります。

そのベクトルは、お客様のため、家族としての従業員のため、社会のためであって、その結果として自分たちも生かされるという精神にあふれています。

もう一つのエッセンスは、「伝統技術を守ることと革新的な技術を取り入れる柔軟さ」ではないでしょうか。

時代がどのように変わっても決してぶれてはいけない事と、時代に応じて変幻自在に順応できる対応力のバランスが大切に思います。

虎屋のようかんは、「いつも同じ味を守るために毎年ごくわずかに味を変えている」と聞いたことがあります。

なんだか矛盾した言い回しですが、虎屋のようかんを食べるお客様の味覚がどの時代も同じであるはずがないわけで、であれば時代に合わせて少しずつ変化することも大切ということなのでしょう。

また僕の地元奈良の中川政七商店さんは、本業の奈良晒・麻製品で自身の世界観を確立され今では様々な商品を開発販売されています。

自社開発以外に他の技術力のある会社といっしょにブランドと新製品を開発され、自身の店舗やWEBでも販売することでともに発展していく、三方よしを超える四方よしの経営をされています。

次に大切なエッセンスは、「過度な背伸びをせずに身の丈に合った経営をする。そのうえでの挑戦し続ける姿勢」だとおもいます。

1980年後半のバブル時代、本業よりも儲かると金融や不動産に過度の投資をした会社、それが本業であったとしても自身の資本力を大きく上回る設備投資をした会社の多くは辛酸をなめました。

かといって変化を怖がり現状にしがみ付いていても時代の荒波は乗り越えることができません。

そして最後のエッセンスは、「社長が全責任を背負って決して投げ出さない覚悟」だとおもいます。

上場大企業のサラリーマン社長と違い同族会社のオーナー一族とその会社は、常に同じ運命を共にした船に乗っています。

同期入社組の頂点としての「社長職」とはその性質は大きく違い、業績が落ちたから退陣することで責任をとったことにはなりません。

そういう経営の在り方が現代の資本主義では正しいかどうかは別にして現状のほとんどの同族会社は会社にかかわる一族全員が命がけで会社を支え守っていることは確かです。

その覚悟の程も教育によって次代に受け継ぐのです。

実は冒頭に書いた勉強会とは「事業の出口を語る会 M&A編」という勉強会でした。

つまり自分の後の会社は、「清算」「上場」「M&A(売却)」「倒産」そして「承継」しかありません。

いろいろな選択肢を知り今から備えておく為に参加しました。

多くの中小企業の経営者は円満な承継ができればそれに越したことはないと考えると思います。

その承継相手が、一族に流れるエッセンスを受け継ぐ者であればなおさらです。

エノキアン協会が伝えたい「活力は伝統と調和する」とはそういうすべてのエッセンスではないかと思いました。

弊社は、父が創業で今年で57年になります。まずは100年生き残れる会社になりたいと強く思います。

いずれ僕から息子に引き継ぐ日が来るとおもいますが、これからも僕が父から受け継いだこの会社のエッセンスを息子にもしっかり伝え、世の中から100年生き残る価値のある会社と認められるよう努力を続けたいと思います。

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